タングステン(たんぐすてん)
ティグ溶接用タングステン電極材料の種類は表1に示すように純タングステン、酸化トリウム入りタングステン、酸化ランタン入りタングステンおよび酸化セリウム入りタングステンの4種類があります。このほか、JIS規格にはありませんが市場に出回っているものとして酸化イットリウム入りタングステンや、酸化ジルコニウム入りタングステンなどがあります。これらの電極材料のうち、JIS規格にある電極の特徴は以下の通りです。
1) 純タングステン
電極の消耗が激しくアークを発生させると直ちに先端形状が溶融して丸くなるが、丸くなった後はほとんど形状が変化しない。このため,電極の消耗が大きくなりやすい交流ティグによく用いられます。
2) 酸化トリウム入りタングステン
純タングステンに比べて電極先端の溶融消耗やスタート性に優れており、古くから直流ティグ溶接に用いられています。交流では電極先端部の形状が変形しやすく、タングステンが溶融飛散することもあるので使用には注意が必要です。
3) 酸化ランタン入りタングステン
溶接用タングステン電極の中では最も耐消耗性、スタート性に優れており、長時間の連続溶接でアークの安定性などを要求する自動溶接に用いられることが多い。
4) 酸化セリウム入りタングステン電極
酸化トリウム入りタングステンより耐消耗性、スタート性に優れています。交流では、電極先端部よりタングステンが溶融飛散することも無く先端形状の溶融変形の程度も小さいので、アルミニウムやその合金のティグ溶接に用いられます。